手の外科について

  2015年4月より赴任してまいりました村松慶一です。私は昭和38年小倉に生まれ、56年小倉高校を卒業、62年山口大学を卒業し医師となりました。同年山口大学整形外科教室に入局し、これまで整形外科医となり約30年が経ちました。
 
  私の専門分野は、1)手の病気、2)手足のしこり、骨軟部腫瘍、3)1mmの血管をつなぐ手術マイクロサージャリー(微小血管外科)の3つです。これまで、1995年からオーストラリア、メルボルン大学、1997年からアメリカ、メーヨークリニックに留学して研究を深めてきました。私の専門分野から病気をあれこれ紹介します。
 
◆手とは?
  手は手首より下の手のひらと指をさします。手はとても美しく、繊細に働き、複雑な構造をしています。しかも、私たちは毎日手を使って生活していますので、病気になればとても困ります。手は、安静にして治療するということはできないので、ぜひ症状が出れば早期に診断を受けて治療することをお勧めします。しびれとかで日常そんなに困らなくても、その裏には大きな病気、例えば糖尿病などが隠されていることがあります。早めに整形外科で診断、治療していただくことが大切だと思います。
 
◆手、指に関する訴えにはどういった症状がありますか?
  一番多いのはやっぱり、手が痛い、しびれる、それから朝特にこわばる、力が入らない、朝冷たいとか、場合によっては震えが止まらないとか、あるいは何かできたということで病院に来られる患者さんが多いです。
  手というのは、本当に小さな場所ですけれども、いろんな症状で悩んでいらっしゃいます。それぞれの症状にはどのような病気、原因が考えられるかというと、例えば、痛みがある場合、手をよく使われるご職業の方に多いのですが、いちばん多いのは腱鞘炎と手根管症候群です。ここでは手の専門家として症状や病気について説明します。

【手根管症候群】

   親指、人差し指、中指、薬指の半分がしびれ痛みます。特に朝型ひどくなります。中高年の女性に多い病気です。ボタンのつけ外しや箸がうまく操れなくなります。早めに治療すれば注射などで治りますが、進行すれば小手術が必要なこともあります。

【腱鞘炎】 

  腱鞘炎も中高年に多い病気です。指の腱鞘炎は通称ばね指といいます。それは指が引っかかってばねのように伸びるからです。指の付け根に痛みが出ます。手根管症候群と一緒になることもあります。手首の腱鞘炎は親指の付け根が痛くなります。腱鞘炎は注射で治りますが、進行すれば小手術が必要になります。

【母指関節症】 

  中年の女性や手をよく使う仕事の男性に多く、缶を空けるのが痛くて難しくなります。親指の付け根の関節はぐるぐる回せるので、壊れやすく緩んできます。早期でしたら装具などで治療します。

【へバーデン結節】

  指の第1関節が膨らんでくる関節炎で、遺伝が関係しています。残念ながら予防するのは難しいので、積極的な治療はしませんが、水ぶくれができれば早く処置をしてばい菌が入らないようにせねばなりません。

【デュピュイトラン拘縮】 

  糖尿病やてんかんをお持ちの方に多い不思議な病気です。指が徐々に曲がって伸びなくなります。顔を洗うと指が鼻に入ったり、仏様の前で手が合わせにくくなります。痛まないので病院に来るのが遅れてしまいますので早めに受診を勧めます。

【槌指】 

  野球のボールが指先に当たり第1関節が伸びなくなるけがです。腱が切れるか、骨折があります。決して突き指と侮らないでください。治療しないと後遺症となりますので、ぜひ受診してください。

【橈骨遠位端骨折】

   人間はこけると体をかばうために手を地面につきますので、1番骨が弱い手首が折れてしまいます。手首が激しく痛みフォークのような形に曲がります。折れ方のひどさにより、ギブスで固めるか、金具で止めるかが決まります。手を2週間以上固めると関節が硬くなって戻らなくなるので、手首専用の金具で止めてすぐリハビリを始めたほうがよく治ります。

◆手の専門医をご存知ですか?

手外科の専門医は整形外科の先生の中でも、手を専門に治す、いわばスペシャリストの先生方です。たくさんの症例をみて手術をされてきているので、安心してかかれると思います。手の専門医がいる医療施設が限られており、現在山口県では私を含め16人の手の専門医の先生がいます。安心して治療が受けられます。

◆最後に、手足や体のしこり、骨軟部腫瘍

  この病気は世間的にはあまり知られていませんが、恐ろしい病気もあります。珍しい病気ですのでその専門の先生も少ないのです。骨にもがんのような腫瘍ができます。これは子供の膝にできる骨肉腫という病気です。怖い病気ですがとても珍しく、1年間に山口県で1人か2人しか起こりません。成長による痛みと間違われることもあります。
 
  手足や体に痛くないしこりができることがあります。よく脂肪の塊と思われますが、実は中には命にかかわる病気もあります。しこりが、硬く、5cm以上で、急に大きくなれば迷わず整形外科を受診してください。痛みがないので病院の受診が遅れることがよくあります。お早目に受診ください。