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スタッフのよもやま話  

その3 近年増加した大腸がん 

外科医師 重田 匡利

はじめに

大腸は盲腸から肛門まで約1.6メートルで、おなかのなかを一周しています。たくさんの腸内細菌が繁殖しており食物や細菌による刺激にさらされて、さまざまな病気が起こることがありますが、なかでも大腸癌に注意が必要です。大腸癌でも肛門から近い直腸にできるものを直腸癌、それ以外を結腸癌と呼びます。大腸癌はもともと日本人には少なかったのですが2000年ごろまで患者数がどんどん増加し、以後も横這いで経過しております。2014年の男女あわせた発症者は約134千人であり胃癌を抜いて最も多い癌となりました。

 

発生と進行

大腸の粘膜に大腸癌は発生します。やがて大腸の壁深くへ侵入します。壁の外まで広がり腹腔内に散らばったり、近くの臓器を巻き込んだりします。あるいは血液やリンパの流れに乗ってリンパ節や肝臓、肺などの臓器に転移します。

 

症状

大腸癌が大きくなると出血や狭くなることで症状が出現します。便が細くなる、便に血が混じる、貧血になる、便秘や下痢を繰り返す、さらに腹痛や腹満、嘔吐が出現します。一方で早期の大腸癌は症状がほとんどありません。

 

危険因子

脂質摂取の増加、食物繊維の減少など食生活の変化が大腸癌の増加の原因と考えられています。飲酒、喫煙、肥満、糖尿病、炎症などが大腸癌と関係するようです。また親など近い家族に大腸癌の患者さまがいらっしゃるのであればそれも注意が必要です。発症年齢は50歳頃から増加し70歳頃がもっとも多いようです。

 

診断

検診では便潜血検査が行われます。診断には大腸の内視鏡検査が行われます。

 

治療

大腸癌は可能であればまずは手術で癌を取り除くことを考えます。通常の開腹手術のほかに腹腔鏡を用いた小さな傷の大腸切除が行われています。肛門に近いものでは人工肛門が必要になります。切除範囲を含めた手術内容はおおむね癌の部位と進行度で決定してしまいますが、体力や希望なども考慮して最適な治療法を選択します。大腸の完全閉塞や穿孔では緊急手術が必要になり、重態となるので注意が必要です。その一方で、ごく早期のものは大腸内視鏡で切除が可能なものもあります。大腸手術後の症状としては便通異常があります。とくに直腸術後では頻回の便通や便失禁、痛みや排便困難など強い症状が出ることがあります。予防目的あるいは転移に対しては抗癌剤治療が行われます。抗癌剤治療も近年の進歩により長期間効くようになってきました。今後もさらに良く効く治療の開発が望まれます。

 

おわりに

早期の大腸癌は治癒する確立も高いですが検診でないと見つかりません。検診をうけた人のうち大腸癌がみつかるのは0.2%とのことでありますが、ポリープなど前癌病変の切除までを含めるとそれ以上の意義があります。一説によると大腸癌検診を受けている人は大腸癌死が70%も減らせるそうです。職場検診や市の検診などの機会がありましたら受けてみてください。

(令和元年6月 長門時事掲載)

その4 視能訓練士を知っていますか?

視能訓練士 津曲 彩佳

 

皆さんは視能訓練士を知っていますか?

視能訓練士とは、昭和四十六年に制定された視能訓練士法により、「医師の指示の下に、両眼視機能に障害のある者に対するその両眼視機能の回復のための矯正訓練及びこれに必要な検査を行うことを業とする者」をいいます。

過去に日本眼科医会は、昭和五十四年より眼科コメディカル(OMA)の養成教育を行い、認定試験により業務の補佐を担うOMAを雇用してきました。このOMAが視力検査等をおこなってきたのですが、視能訓練士養成校の増加、医療水準が高く求められるようになってきた時代背景から平成二十三年度からOMAの制度が廃止されました。そして、眼科に係る業務は視能訓練士またはその他の有資格者によって行うようになりました。

最近では、糖尿病などの慢性疾患や老化に伴う疾患・障害の増加により、中高年の低視力者が増加傾向を示しています。視力の低下した高齢者を対象に、目の検査やリハビリテーションの指導も行います。斜視、弱視の視能訓練という専門分野のみを業務としていた創生期に対して、今では眼科一般分野での幅広い視能検査への業務分野は拡大しています。

 

視能訓練士の業務内容

視能訓練士は、医師の指示の下に眼科に係る検査を行います。業務は病院施設ごとに異なりますが、その具体的内容は次の通りです。

   眼科一般検査分野(眼科診療に係わる視機能検査全般)

遠視、近視、乱視といったような屈折異常に関する検査、白内障、緑内障などの眼疾患に関する検査、眼鏡やコンタクトレンズの処方に関する検査等を行います。[視力・屈折・眼圧・視野・眼底・前眼部の写真撮影および解析・角膜内皮細胞・電気生理・超音波検査など]

 

②視能矯正分野(斜視、弱視などの訓練指導)

視能訓練士は、両眼視機能の異常を持つ斜視、弱視の患者さんに両眼視機能を回復させるための視能訓練及びこれに必要な検査を行います。

[両眼視能・眼筋機能・精密屈折検査、斜視・弱視訓練など]

 

③視力低下者のリハビリ指導

高齢化社会、生活習慣病の蔓延などに伴い、視機能が十分に回復しない方が増えています。そのような方に、早期にロービジョンケアを開始し、必要な補助具を選定、その使い方を指導します。

[拡大鏡、拡大読書器、単(双)眼鏡、遮光眼鏡など]

 

視能訓練士の検査業務は一見単調ですが、いろんな人と接することができ、何度も顔を合わせるうちに親しくなることもあります。新しい機械がどんどん出てくるので常に勉強が必要で大変ですが、正確な検査結果を出すことができたときは、自信もつき次の検査につなげることができます。

これからも視能訓練士として新しい知識や技術に柔軟に対応し、身につけたいと考えています。少しでも多くの患者さんの役に立てるよう日々精進してまいります。

(令和元年7月 長門時事掲載)

 

その5 手足口病とは?

感染管理認定看護師 松田純一
手足口病とは
 手足口病は、その名が示すとおり、口の中や、手足などに水泡性の発疹が出る、ウイルスの感染によって起こる感染症です。4歳くらいまでの子どもを中心に、主に夏に流行します。病気の原因となるウイルスは、主にコクサッキーウイルスA6、A16、エンテロウイルス71(EV71)で、その他、コクサッキーウイルスA10などが原因になることもあります。
 
症状
感染してから3〜5日の潜伏期をおいて、口の中、手のひら、足底や足背などに2〜3mmの水疱性発疹が出現します。発熱は約3分の1にみられますが、あまり高くならないことがほとんどです。ほとんどの発病者は、数日間のうちに治る病気です。基本的には予後良好の疾患ですが、まれに髄膜炎、小脳失調症、脳炎などの中枢神経系の合併症などを生じることがあり、発熱(高熱又は2日以上の発熱など)、嘔吐、頭痛などがある場合は注意が必要です。
 
感染経路
感染経路は、飛沫感染、接触感染が知られています。特に、この病気にかかりやすい年齢層の乳幼児が集団生活をしている保育施設や幼稚園などでは注意が必要です。施設の中で手足口病の患者が発生した場合には、集団感染が起こりやすいためです。
 
予防
 手足口病には有効なワクチンはなく、また手足口病の発病を予防できる薬もありません。治った後でも、比較的長い期間、便などからウイルスが排泄されることがあります。一般的な感染対策は、接触感染を予防するために石けんと流水による手洗いをしっかりすることと、タオルの共用はしてはいけません。手足口病は、治った後も比較的長い期間、便の中にウイルスが排出されますので、日頃からのしっかりとした手洗いが大切です。
 
治療
手足口病に特効薬や特別な治療方法はありません。また、基本的には軽い症状の病気ですから、症状に応じた治療になります。しかし、まれに髄膜炎や、脳炎などの中枢神経系の合併症などを生じることがありますから、経過観察をしっかりと行い、高熱がでる、発熱が2日以上続く、嘔吐する、頭を痛がる、視線が合わない、呼びかけに答えない、呼吸が速くて息苦しそう、水分が取れずにおしっこがでない、ぐったりとしているなどの症状がみられた場合は、医療機関を受診しましょう。
 
発生状況について
 毎年、夏を中心として発生し、7月下旬に流行のピークを迎えます。国立感染症研究所によりますと、2019年6月末の患者数が31都府県で警報レベルとなりました。
 
学校保健法での取り扱い
 手足口病は、学校で予防すべき伝染病1~3種に含まれていません。主症状から回復した後もウイルスは長期間にわたって排泄されることがあるので、通常の流行状況での登校登園の問題については、流行阻止の目的というよりも患者本人の症状や状態によって判断されると良いでしょう。
参考:国立感染症研究所・厚生労働省・山口県感染症情報センター
(令和元年8月 長門時事掲載)
山口県厚生農業協同組合連合会
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