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スタッフのよもやま話  

その6 閉塞性動脈硬化症について

外科医師 坂本 龍之介

●はじめに

閉塞性動脈硬化症とは動脈硬化が原因となって血管がつまる病気です。動脈は心臓だけでなくお腹や足・腕・脳と全身にありますが、そういった動脈が硬くなって、動脈の内側にごみがついてしまい、その結果、血液の通りが悪くなって症状が出ます。それが心臓であれば狭心症、脳であれば脳梗塞や脳卒中、足や腕であれば閉塞性動脈硬化症になります。

●原因

人は年齢とともに必ず動脈硬化は起こり、40歳くらいから徐々に増加します。そして一番の原因は喫煙であり、その他の原因としては糖尿病や高血圧、脂質異常といったいわゆる生活習慣病があります。近年では食生活の変化に付随して、飲酒や喫煙、ストレスや運動不足といったことが重なることで生活習慣病が進行していき、以前よりも動脈硬化の起こる割合は増加傾向です。

●症状

初期には冷感やしびれといった症状があり、生活に支障が出ることはほとんどありません。進行していくと間欠性跛行といって、一定時間運動すると痛みがでてきて、休むと改善するということを繰り返すようになります。そこからさらに進行すると、何もしなくても痛みが生じるようになり、最も進行すると傷が治らなくなり、足や手を切断しなければなりません。

●診断方法

病院で診断するときはまず、脈拍を触知します。血流が悪くなると脈拍が触れなくなるので、そのような人にはABIという、腕と足の血圧を比べる検査を行います。血流が悪くなると血圧が低くなりますので、閉塞性動脈硬化症のある人は数値が低くなります。この数値と症状から病気があるかどうかを判断して、病気がある場合はエコーやCTMRIといった検査を行い、具体的に血流の悪い部分を診断します。

●治療

生活習慣の改善・薬物療法・手術があります。最初は食生活の改善や運動、禁煙など生活環境を改善することで動脈硬化の進行を最小限にすることが大切で、特に、運動することが大切となります。

次に薬物療法として抗血小板薬、血管拡張薬という、いわゆる血液サラサラの薬を使い、新たな病変ができないようにします。ここまでしても症状が改善しない場合は手術を行います。

手術の方法はカテーテル治療とバイパス治療があります。カテーテル治療の特徴ですが、低侵襲であるため患者への負担が少ないです。麻酔は局所麻酔で行うので、食事は当日から可能であり、歩行も翌日には可能です。そして合併症がなければ23日間程度の入院で退院できます。バイパス治療はカテーテル治療では困難な高度な病変に対して行います。

比較的大手術であるため、入院期間はやや長くなり、全身麻酔で行います。

●最後に

 閉塞性動脈硬化症は進行すると足が壊死してしまい、場合によっては切断の可能性のある恐ろしい病気です。生活習慣を改善することで予防を行い、症状が出現したら早めに受診するようにして下さい。

(令和元年9月 長門時事掲載)

 

その7 指先の痛み ~へバーデン結節と装具療法について~

作業療法士 井上 清隆

手指第1関節の痛み

 近頃,手指の第1関節が「腫れて,ズキズキ痛む」「コブができた」「変形してきた」という症状に悩まされている方はいらっしゃいませんか?それはもしかしたら「ヘバーデン結節」かもしれません.ヘバーデン結節とは手指第1関節の変形性関節炎で関節の腫れや変形が起こります.(図1)ヘバーデンとは最初に報告した先生の名前です.先日,テレビ番組でキャシー中島さんがこの病気で数十年も悩まされたと告白されました.

 

症状

 人差し指から小指にかけて第1関節が赤く腫れたり,横方向に曲がったりし,痛みを伴います.また第1関節の動きも悪くなり,痛みのため,強く握ることが困難となります.さらには第1関節の背中側に水ぶくれのようなコブができることもあります.(粘液のう腫と言います)個人差はありますが,数ヶ月から数年のうちに痛みが落ち着くことが多いです.

 

原因

 正確な原因は不明とされていますが,一般に40歳代以降の女性に多く発症し,手をよく使う人はなりやすい傾向にあります.遺伝性は証明されていませんが,母や祖母がヘバーデン結節になっている人は高率に認められており,指先に負担をかけないように注意する必要があります.

 

診断

 ヘバーデン結節の診断は,視診,触診などで第1関節の腫れや熱感,変形,関節の動きなどを診察し,レントゲン写真で関節の隙間が狭くなったり,関節の破壊が見られたり,骨が棘のように突出するなどの所見(図2)があればヘバーデン結節と診断できます.

 

治療

 治療はまずは第1関節を安静にし,負担をかけないようにすることが重要です.しかし,この病気は仕事や家事を行っている活動的な人がかかることが多く安静にしたくてもできない方が多くいらっしゃいます.そういった方には関節を安静,保護させるために市販のテーピングや装具を使用することが有効です.(装具に関しては専門機関の受診が必要です)それでも痛みが改善しないときや変形がひどくなり日常生活に支障を来す場合は,手術を考慮します.手術法にはコブや骨の棘を切除するもの(関節形成術)や関節を固定してしまう方法(関節固定術)が行われます.

 

最後に

 キャシー中島さんはテレビで我慢できない痛みではなかったことから受診が後回しになったと話されていました。実際にヘバーデン結節の患者さんからそういった声を聞きます.もし,手指の第1関節の痛みに悩まされている方がいらっしゃいましたら,整形外科に相談してもらうことをおすすめします.

(令和元年10月 長門時事掲載)

       
   

 

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