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掲示板

スタッフのよもやま話  

その16 新型コロナウイルス感染症 

感染管理認定看護師 松田純一

病態、症状

感染経路は飛沫感染(咳やくしゃみで飛び散ったしぶき(飛沫)を吸い込むことにより感染する)が主体と考えられ、換気の悪い環境では、咳やくしゃみがなくても感染すると考えられます。また、ウイルスを含む飛沫などによって汚染された表面からの接触感染も考えられます。エアロゾル感染は厳密な定義がない状況にありますが、密閉された空間において短距離でのエアロゾル感染が考えられる報告もあります。

潜伏期は、114日間でウイルスが体内に侵入してから5日程度で発症することが多いです(WHO)。発症前から感染性があり、発症から間もない時期の感染性が高いことが市中感染の原因になっています。初期の症状はインフルエンザや風邪に似ているため、これらと新型コロナウイルス感染症を区別することは困難です。感染者の症状としては、発熱、咳、倦怠感、呼吸苦が多くみられ、痢や味覚障害・嗅覚障害などを伴う例も認められます。

 

予防法

1)日常生活で気を付けること

まずは、一般的な感染症対策や健康管理を心がけてください。具体的には、石けんと流水による手洗いや手指消毒用アルコールによる消毒が大切です。外出先からの帰宅時や調理の前後、食事の前などに手をきれいにしましょう。また、マスクの着用は感染のリスクを大きく下げることが認められていますので、マスクを正しく着用して鼻と口の両方を確実に覆いましょう。

咳などの症状がある方は、咳やくしゃみを手で押さえると、その手で触ったものにウイルスが付着し、ドアノブなどを介して他の方に病気をうつす可能性がありますので、咳エチケットを行ってください。持病がある方、ご高齢の方は、できるだけ人込みの多い場所を避けるなど、より一層注意してください。発熱等風邪の症状があるときは、学校や会社を休んでください。

2)環境消毒

新型コロナウイルスは、70%以上のアルコールや0.05%の次亜塩素酸ナトリウムが有効と考えられます。よく手が触れるドアノブやテーブル、スイッチなどをこまめに消毒しましょう

3)換気の悪い密閉空間を避ける

これまで集団感染が確認された場に共通するのは、換気の悪い密閉空間であった、多くの人が密集していた、近距離(互いに手を伸ばしたら届く距離)での会話や発声が行われたという3つの条件が同時に重なった場です。みなさまは、これらの3つの条件ができるだけ同時に揃う場所や場面を予測し、避ける行動をとってください。

 

相談・受診の目安

発熱や咳など症状があり新型コロナウイルス感染症の可能性がある人は、山口県新型コロナウイルス感染症専用相談ダイヤル24時間対応(083-902-2510)か、市内のかかりつけ医に電話でご相談ください。

 

偏見や差別は絶対に行わない

 新型コロナウイルス感染症は誰でもかかる可能性があります。感染者や濃厚接触者とその家族、新型コロナウイルス感染症の対策・治療にあたる医療従事者や社会機能の維持にあたる方とその家族等に対する誹謗中傷等、偏見や差別、いじめにつながるような行為は絶対に行わないことです。長門市は「長門市新型コロナウイルス感染症の患者等の人権の擁護に関する条例」を制定し偏見や差別、誹謗中傷など人権の侵害をしてはならないとしています。新型コロナウイルス感染症は、現時点でも未解明な点が多いことから、不安や恐れを感じ確かでない情報を安易に信用してしまいがちです。国などの公的機関が提供する正しい情報を確認し、冷静に判断して行動することが大切です。

(令和211月 長門時事掲載)

参考

・厚生労働省

・日本環境感染学会

・山口県「新型コロナウイルス感染症に係る偏見や差別、いじめの防止に向けて」

その15 「HbA1c」を知って糖尿病予防を

保健師 岡本香子
食生活や運動不足等の生活習慣が主な原因となる2型糖尿病の場合、ある日突然、血糖値が高くなるのではありません。多くの場合、ゆっくり、何年もかかって血糖値が高くなり、糖尿病に至ります。まだ糖尿病と診断されるほど血糖値が高くないけれども、正常よりは高くなってきた状態を「糖尿病境界型」や、「糖尿病予備群」と呼びます。
 
HbA1c:(読み方)ヘモグロビンエーワンシー
検査前の飲食に左右されず過去1~2カ月の血糖の状態を示す値
血糖値の高さを確認する代表的な検査としては、空腹時血糖値、75g経口ブドウ糖負荷試験、HbA1cの3つがありますが、今回は市の健診等(特定健診)で測定されるHbA1cに注目して、糖尿病予防を考えます。
 
                     
 
 
 
 
 
注1) 境界型、注2)正常型でも、血糖値や他の病気(高血圧や脂質異常症、肥満症等)の有無により、精密検査を勧められる場合があります。
 
 
 
 
 
 
 
この図でHbA1cが6.0~6.4の方は、糖尿病境界型です。ご自分の値が境界型でないか健診結果を確認してみてください。
糖尿病境界型の数値の方は、「まだ糖尿病になったわけじゃないから、今は食生活を改善したり、運動をしたりする必要はない」と思っている方がいるかもしれません。糖尿病境界型の段階ではなんの症状もないので、そう考えるのは無理もありません。しかし、糖尿病境界型の段階で、からだの中では変化がおきはじめています。
 
例えば、血糖値を下げるホルモンであるインスリンが出にくくなったり、効きにくくなったりする変化は、糖尿病と診断されるずっと前の段階からあるといわれています。糖尿病境界型といわれる状態から糖尿病に進むにつれて、インスリンの働きは徐々に弱まっていきます。
 
また、血糖値が高い状態が続くことで全身の血管にダメージを与えます。そのため、血管の老化である動脈硬化は糖尿病境界型の段階から生じており、心臓や脳などの血管の病気になりやすくなります。
 
 
 
 
では境界型と知った時、または、まだ正常型にある時でも、どうしたら糖尿病予防できるのでしょうか。2型糖尿病の発症リスクを高める要因として、日本人の40~59歳の男女を10年間追跡した調査により、以下のことがわかりました。
年齢…1歳年を取るごとに男性・女性ともに2%上昇
肥満指数…BMI(健診結果に記載あり)が増えるごとに、男性・女性とも17%上昇
糖尿病の家族歴…家族歴があると、男性で2.0倍、女性で2.7倍上昇
高血圧…高血圧があると、男性で1.3倍、女性で1.8倍上昇
喫煙…1日20本以上吸う方は吸わない方と比べて、男性で1.4倍、女性で3.0倍上昇
飲酒…1日1合以上飲む方は、飲まない方と比べて男性で1.3倍上昇
 
これらに当てはまる場合、年齢と家族歴を除いては、ご自身で改善できそうな要因です。まず適正な体重管理、血圧管理(減塩、減量、適度な運動)、禁煙、節酒をできるところから実行し、糖尿病を予防したいですね。
 
※「糖尿病リスク予測ツール第2版」:国立国際医療研究センター作成のこのツール、身長体重、年齢、血圧、喫煙の有無、血液データ(分かれば)を入力すると、3年後に2型糖尿病になるリスクを予測してくれます。ネットでチェックしてみてください。
参考出典:国立国際医療研究センター 糖尿病情報センターHP
(令和2年9月 長門時事掲載)

その14 医療機関の機能分担について

医事課課長 金子純

「かかりつけ医を持ちましょう。」最近目にすることが多くなった言葉ではないでしょうか。長門市の市報にも書いてあるのを目にしました。以下、引用させていただくと、

 

『日ごろから健康診査を受けるなど身体の状態を知ってもらい、気軽に相談できる「かかりつけ医」を持ちましょう。

かかりつけ医のメリット

・家族歴もわかり適切な診断が受けられ、緊急時に適切な対応がしてもらえる

・適切な専門医を紹介してもらえる

・薬や検査の重複を防ぎ、安全な診療・医療費の無駄が省ける

(広報 ながと 令和28月号)』

 

とあります。ここでいう「かかりつけ医」とは診療所やクリニック等の開業医の事です。

これは開業医と大学病院などの大病院の医療機能に応じた役割分担を推進する国の方針に沿っています。

高齢人口の増加に伴い医療費も増加しています。国は医療の効率化を図るため開業医と大病院のそれぞれの役割をはっきりさせようとしているのです。これは初診の患者様にも当てはまることですが、具体的には患者様が外来にかかるとき、まず最初はかかりつけ医(または開業医)に診てもらい、一般的治療で難しい症状があった時や入院が必要なときはかかりつけ医から大病院や専門医を紹介してもらう。治療が終わり症状が安定したらまたかかりつけ医に戻るという仕組みです。

これまでも、国が指定する大病院を紹介状の無い患者様が受診すると、大病院は診療費以外に「選定療養費」として初診時は5,000円以上、再診時は2,500円以上の実費を患者様から徴収する義務がありました。

令和24月の診療報酬改定において、この大病院とされる範囲が拡大されました。国は着々と医療機能に応じた役割分担を進めているのです。

さて、地方の医師不足が問題になっていることは皆様もご存じの事と思います。長門総合病院を例にすれば特に内科医師の減少が続いており、ここ数年で多くの内科のかかりつけ患者様を近隣の病院や開業医へ紹介させていただいています。このような事情から内科は現在、緊急性の少ない初診の患者様をお受けすることが難しく、まずは開業医への受診をお願いしている状況です。長門市内の病院でも常勤医がいない診療科もあります。かかりつけ医や他の医療機関からの紹介状をお持ちの患者様が、せっかく来院されたのに担当医の診察日ではなかったり、担当医が急遽休診になっていたりして受診できないということも考えられます。病院の多くは地域連携室という紹介患者様専用窓口を設置しています。スムーズに診察を受けていただくためにも、紹介元の医療機関、または患者様ご自身から事前に紹介先の病院にご連絡していただき、いつ受診したらいいのか、予約は可能なのか等を確認される事をおすすめします。

(令和28月 長門時事掲載)

その13 健康診断で血尿と言われたら/夏場に多い尿路結石

泌尿器科医師 堀口直也

血尿と聞いて想像するのは、トイレの後で便器が真っ赤になった状態でしょうか。そういった血尿もありますが、色は付いていないのに健康診断で血尿が認められる場合もあります。前者は見てわかるので肉眼的血尿、後者は顕微鏡的血尿と呼ばれます。ただ、肉眼的血尿は視覚的な分かりやすさがあるため、病院を受診される患者さんがいますが、顕微鏡的血尿の場合は、検査の数値だけで実感が伴いにくいため、忙しさを理由に後回しにされてしますこともあるようですが、病気の初期段階で発見できる可能性もあるため、医療機関の受診をお勧めします。

 血尿の原因は多岐に渡り腎疾患、出血性膀胱炎、尿路結石、尿路悪性腫瘍()、外傷、抗凝固薬内服の影響などが挙げられます。

 それらの診断にはまずは問診、尿検査といった一般的な検査が行われ、更に症状に応じて検査を追加します。例えば、感染尿で排尿時痛を伴う場合には出血性膀胱炎を疑います。間欠的な腰背部痛がある場合には尿路結石を疑って、レントゲン撮影や超音波検査を追加します。尿検査で異常な形の細胞が含まれる場合には膀胱癌を疑って超音波検査や、尿細胞診検査、膀胱鏡、造影検査を検討します。血尿に加えて蛋白尿がある場合や、採血で腎機能が落ちている場合には腎炎マーカーの採血や、腎生検(腎臓を針で刺す検査、入院が必要ですが、麻酔をするので痛みはほとんどありません。)を加えて精査を進めます。外傷歴や、抗凝固薬の内服歴といった分かりやすい理由がある場合も、他の原因が合併している場合があるので注意が必要です。これらの検査で診断がつけば、原疾患に対処することが出来るので、血尿も改善する場合が多いでしょう。

 また、この記事が載るのは夏真っ盛りでしょうか、尿路結石の増える時期になります。尿路結石は腎結石・尿管結石・膀胱結石・尿道結石を指します。腎結石は無症状で経過することの多い病気で、サイズが大きくなりすぎずに、腎臓にとどまっている場合には大きな問題となることが少ない病気です。ところが、この石が尿管に移動して引っ掛かり、尿の流れを遮ることで尿管や腎臓が尿で膨らんで、大変な腰背部痛を生みます。すさまじい痛みのために救急車を呼ばれる方もいる程です(医療機関を受診して尿管結石と分かっていて、自宅待機を選択している場合はご家族の車や、タクシーを利用した受診で問題ない場合がほとんどです)。結石のサイズや、石の位置、種類、感染症を伴っているかで治療法は変わりますが、自然排石待機・体外衝撃波による砕石・内視鏡による砕石のいずれかを選択することになります。

膀胱結石・尿道結石では排尿痛や膀胱刺激症状を伴うこともあり、ほとんどは自然排石されますが、排尿障害のある方に起こった場合には、内視鏡による砕石・除去が必要な場合もあります。

 尿路結石が夏に起こりやすい原因の一つとして、尿量の減少が知られ(尿量1L/日以下で結石の発生率が上がると言われています)、結石を予防するのに必要な尿量は2L/日以上とも言われますので、可能な範囲での飲水を心掛けたいものです。

(令和27月 長門時事掲載)

その12 放射線治療について

 
放射線治療専門放射線技師 荒田 克昭
 
放射線診療は“診断”と“治療”に大きく分類されます(前者は皆さんご存じのレントゲン写真やCTなど、後者は放射線を用いたガンなどの治療)そこで今回の“「長門病院」地域元気発信”は放射線治療についてお話ししたいと思います。
まずは放射線の歴史を少し、よく耳にするX線はドイツのヴィンヘルム・レントゲン博士により1895年11月8日に発見されました。発見したものの、謎だらけということで数学において未知を表す記号“X”を冠し“X線”と命名された次第です。その後X線は医療の現場で大活躍。加えて進化し続け現在のレントゲン写真、透視、CTなど医療には必要不可欠なものになりました。
本題の放射線治療においてはX線が発見された翌年には最初の放射線治療が行われ100年以上にわたり、ガン治療(一部の良性のものにも治療したりします)に放射線は用いられてきました。その間に様々な装置や学問が発達し放射線治療は急速に進歩し、高い治療効果と少ない副作用を目指し続けています。
放射線治療の進歩としては、数十年前の装置(コバルト照射装置)では使用できる放射線の強さが弱く治療した所の皮膚が変色し、数年後まで残ったままでした。その後リニアック(直線加速器)と言われる装置が主流になり、放射線治療に使用出来る放射線の強さや種類が増え、皮膚の変色等の副作用も劇的に軽減されています。
放射線治療には、
  • 放射線治療をして腫瘍を小さくして外科的手術を行う方法
  • 放射線治療だけを行う方法
  • 痛みがある所に対して痛みの緩和目的で行う方法
  • 抗がん剤治療やホルモン療法と合わせて行う方法
  • 放射線増感剤といわれる薬と合わせて行う方法
等が、あります。(方法等は色々あるので、主治医にご相談され専門医に紹介してもらうのも良いと思います。)
放射線治療は毎日(土日祝日を除く)数十日間行われ、治療の間は毎回なるべく同じ位置に治療をする事が大切になります。その為に体動を防ぐ為に固定する器具を作成し、IGRT(画像誘導放射線治療)というリニアック装置で多方向から撮影をしたり、輪切りの画像を撮影したりして毎回の治療時に同じ位置であるかを確認し数mm以内の誤差で治療をしています。
また、放射線治療の一種で、陽子や重粒子(炭素イオン)などの粒子放射線を病気の部位に照射する治療法は、X線による一般的な治療に比べて、より病気の部位に合わせて放射線を照射できる利点があります。山口県から一番近い所では佐賀県や岡山県にあります。
と、かなり難しい話をしましたが放射線治療は痛みも無く、なるべく動かないようにしてもらうだけの治療です。しかし、色々と副作用もある治療なので不明な点は医師又は診療放射線技師にご相談下さい。
最後に、医療の現場には医師以外にも様々なスペシャリストが存在しています。医師を筆頭にチーム医療を目指し努力をして行きたいと思います。
(令和2年6月 長門時事掲載)
 

その11 「LH比」をご存じですか

薬剤師 宗村 拓美

 健診などの採血で測定されるコレステロール。コレステロールはホルモンを合成する材料であり、細胞膜の成分になるなど身体にとって不可欠です。コレステロールにはLDL(悪玉)コレステロールとHDL(善玉コレステロール)の2種類があます。LDL(悪玉)は、肝臓より全身組織にコレステロールを届けていますが、多すぎると血管壁に付着して動脈硬化をすすめます。一方HDL(善玉)コレステロールは、血管壁に付着する余分なコレステロールを回収し、肝臓に戻す働きをしています。そのため全身の動脈硬化を防ぎ、脳卒中(特に脳梗塞)や心血管疾患を防ぐためには2種類のコレステロールどちらもが多すぎず、少なすぎずバランスよく存在することが大切です。そのバランスの指標が「LH比」です。LDL(悪玉)÷HDL(善玉)で求められ、2までがよいとされています(糖尿病や心臓血管の病気がある方は1.5まで)。計算式をみても分かるように、LDL(悪玉)はなるべく減らし、HDL(善玉)はなるべく増やすとLH比が改善します。

 それではこのLH比を生活習慣で改善するにはどうしたらよいのでしょう。大きく次の4つです。①身体を動かす:現代人は家電もなく乗り物もなかった時代に比べ身体を動かす量が200分の1にまで減っているそうです。体を動かすとLDL(悪玉)が減り、HDL(善玉)が増え、結果としてLH比が改善します。特別な運動でなくても歩く距離を増やしたり、階段を使ったり、家事でこまめに動くことでも大丈夫です。ご自身でずっと続けられる運動を見つけてみてください。時間の目安は1日60分以上(65歳以上の方は40分以上)です。②食材でコレステロールを減らす:コレステロールは体内で合成されるものが80%、食事からの摂取が20%です。しかしその食事(お菓子も含む)が現代では脂質が多く、コレステロールを上げる原因となっていることも事実です。昔ながらの日本食がベストです。魚や大豆、野菜、海藻、きのこなど、また穀物もできるだけ完全精製されていない全粒粉や玄米などを混ぜて食べるのもおすすめです。肉類は大切なたんぱく源ですので避ける必要はありませんが、脂質の少ないささみ肉、豚ひれ肉、とり胸肉(皮は除ける)が良いです。しかし日本食は欠点が1つ、塩分が多いところです。できるだけ薄味を意識してください。③満腹まで食べない:満腹まで食べるということは食事全体の量が増え、結果として脂質を摂り過ぎてしまいます。食事量が増え内臓脂肪が増えるとLDL(悪玉)が増えます。腹8分目は理にかなった知恵です。④タバコをやめる:タバコはHDL(善玉)を減らしてしまい、LH比が高くなります。またタバコ自体が動脈硬化をすすめますし、数ある発がん性物質のなかではっきりと発がん性が証明されているものです。なにをおいても禁煙です。以前より禁煙治療が保険適応ですのでご検討ください。①~④の1つからでも大丈夫です、ご自身のために取り組んでみられませんか。

※コレステロールの値によっては、「要受診」となっています。その際はまずは生活習慣改善に併せて、受診もしてください。

(令和2年5月 長門時事掲載)

 
 

その10 新型コロナウイルス感染症について

感染管理認定看護師 松田 純一

ウイルスの特徴

ヒトに感染するコロナウイルスは従来、邪のウイルス4種類と重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS)、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS)の合わせて6種類が知られていました。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)はこれらとは異なるウイルスです。新型コロナウイルスは、沫および接触でヒトヒト感染を起こすと考えられていますが、現時点では空気感染は否定的です。感染力は一人の感染者から2~3程度に感染させると言われています。

 

病態、症状

新型コロナウイルス感染症は呼吸器系の感染が主体です。感染した方全員が発症するわけではなく、無症状で経過してウイルスが排除される例も存在すると考えられます。潜伏期は、WHOによれば現時点では112.5日(多くは56日)とされています感染者の症状としては、発熱、咳、筋肉痛、倦怠感、呼吸困難などが比較的多くみられ、頭痛、喀痰、血痰、痢などを伴う例も認められます。

 

予防法

1)日常生活で気を付けること

まずは、一般的な感染症対策や健康管理を心がけてください。具体的には、石けんと流水による手洗いや手指消毒用アルコールによる消毒が大切です。外出先からの帰宅時や調理の前後、食事の前などに手をきれいにしましょう。

咳などの症状がある方は、咳やくしゃみを手で押さえると、その手で触ったものにウイルスが付着し、ドアノブなどを介して他の方に病気をうつす可能性がありますので、咳エチケットを行ってください。持病がある方、ご高齢の方は、できるだけ人込みの多い場所を避けるなど、より一層注意してください。発熱等風邪の症状が見られるときは、学校や会社を休んでください。また、発熱等の風邪症状が見られたら、毎日、体温を測定して記録してください。

2)環境消毒

新型コロナウイルスは、70%以上のアルコールや0.05%の次亜塩素酸ナトリウムも有効と考えられます。よく手が触れるドアノブやテーブル、スイッチなどをこまめに消毒しましょう

3)換気の悪い密閉空間を避ける

これまで集団感染が確認された場に共通するのは、換気の悪い密閉空間であった、多くの人が密集していた、近距離(互いに手を伸ばしたら届く距離)での会話や発声が行われたという3つの条件が同時に重なった場です。みなさまは、これらの3つの条件ができるだけ同時に揃う場所や場面を予測し、避ける行動をとってください。

 

相談・受診の目安

以下のいずれかに該当する方は、最寄りの保健所などに設置される「帰国者・接触者相談センター」にご相談ください。

・風邪の症状や37.5度以上の発熱が4日以上続く方(解熱剤を飲み続けなければならない方も同様です。)

・強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある方

なお、以下のような方は重症化しやすいため、この状態が2日程度続く場合には、帰国者・接触者相談センターにご相談ください。

・高齢者

・糖尿病、心不全、呼吸器疾患(COPD等)の基礎疾患がある方や透析を受けている方

・免疫抑制剤や抗がん剤等を用いている方

・妊婦

2020318日作成

参考:厚生労働省・日本環境感染学会

(令和2年4月 長門時事掲載)

 

その9 顎骨壊死を防ごう

骨粗鬆症リエゾンマネージャー 薬剤師 宗村 拓美

 

《顎骨壊死とは?》

骨粗しょう症やがんの骨転移に対する特定の薬剤を使用している場合に、抜歯や歯ぐきの腫れ、入れ歯による粘膜の傷などを原因として起こる顎骨周囲の炎症によって、あごの骨が腐ってしまう状態を指します。腐ってしまうことを壊死と呼びますが、進行するとあごの骨の露出、痛み、歯肉の腫れや膿が現れることがあります。また、顎骨壊死の症状が現れるとその治療に難渋する場合が多いです。頻度としては、患者10万人年あたり発生率1~数十人(調査によってバラツキあり)。

 

《特定の薬剤とは?》

先の項で述べた顎骨壊死の原因となりうる特定の薬剤としては、ビスホスホネート製剤(内服・注射)とデノスマブ製剤(注射)の2種類があります。ビスホスホネート製剤の内服薬については、「服用後30分は横にならないでください。」、「起床時に服用してください。」、「たっぷりの水で服用してください。」等と言われていることが多く判断がつく場合もあると思います。ご自身の薬剤の内、ビスホスホネート製剤とデノスマブ製剤に該当するものがあるかどうかは処方される病院や調剤薬局で訪ねていただくとすぐに分かると思います。

 

《骨吸収抑制薬投与中シールについて》

ビスホスホネート製剤とデノスマブ製剤を総称して骨吸収抑制薬とも言います。山口県歯科医師会が実施した会員歯科へのアンケート調査により、骨吸収抑制薬の投与歴が分からないまま観血的治療(抜歯等)されるケースが当初の予想以上に多いことが判明しました。骨吸収抑制薬の投与歴が分からないまま抜歯等をすることは顎骨壊死発症の可能性を高めることに繋がります。

顎骨壊死発症や治癒不全を未然に防ぐ対応策として、山口県、山口県医師会、山口県歯科医師会、山口県薬剤師会、がん診療連携拠点病院の連携のもと、「骨吸収抑制薬投与中」を示すお薬手帳用シールの運用が開始されています。骨吸収抑制薬投与中シールは、調剤薬局、病院等、実情に応じた機関において、お薬手帳の表紙の目立つところに貼付されます。骨吸収抑制薬を投与されている方でまだシールを貼付されていない方は調剤薬局、病院へお申し出下さい。

 

《最後に》

薬剤を中心に話を進めてきましたが、骨吸収抑制薬による治療開始前の全顎的な口腔健康管理(義歯の適合確認、う蝕治療、歯周治療)、感染源の除去(保存不可や予後不良な歯の抜歯、口腔と交通する埋伏歯)等、顎骨壊死を予防するためには定期的な歯科受診が非常に重要となります。特に、「歯ぐきやあごが腫れてきた、痛い」、「下唇がしびれた感じがする」、「歯ぐきに白色あるいは灰色の硬いものが出てきた」、「抜歯後の治りが良くない」、「歯がぐらついてきて、自然に抜けた」といった症状がみられた場合には、放置せずに医師、歯科医師、薬剤師に連絡してください。

(令和2年3月 長門時事掲載)

その8 インフルエンザ予防

長門総合病院 感染管理認定看護師 渡邉恵代

 

今シーズン、長門市は、12月中旬にインフルエンザが警報レベルとなりました。インフルエンザは例年1112月上旬に徐々に増加し、13月で流行のピークを迎え、4月ごろに終息するといわれています。今シーズンはいつもより約1ヶ月早い流行ですが、これからもインフルエンザが流行する可能性があるため、日頃から私たちにできる予防策を行いましょう。

 

インフルエンザについて

インフルエンザは、インフルエンザウイルスが原因で起こります。インフルエンザウイルスはA型、B型、C型の3つの型が知られていますが、人に流行するのは主にA型とB型です。同じ型の中にも様々な種類があるため、一度かかっても、同じ年度で違う種類のウイルスにかかることがあるのはそのためです。インフルエンザは咳やくしゃみなどのしぶき(飛沫)を介して感染する飛沫感染や、直接接触で目や口や鼻などからウイルスが侵入する接触感染で感染します。13日程度の潜伏期間のあと症状が現れます。インフルエンザの症状は、急激な高熱、頭痛、筋肉痛・関節痛、鼻水などです。38度以上の高熱が34日持続したあと解熱し、通常は1週間程度で自然治癒することが一般的です。熱が高くならない、下痢などの消化器症状がみられる、長引くこともあり、経過には個人差があります。発症の24時間前からウイルスは排出され、発症後2472時間がピークでウイルスが排出されます。抗ウイルス薬はウイルス量が最大になる48時間以内に使用することで十分な効果を発揮するといわれています。

 

予防と対策

①感染対策の基本である手洗いは、インフルエンザ予防においても1番大切といってもよい予防策です。インフルエンザウイルスは、人の体を離れて物の表面に付着した後も、数十時間も感染力があるといわれています。ウイルスが付着した物の表面を手で触わることで感染することを避けるために手洗いが大切となります。インフルエンザウイルスは、アルコールによる消毒効果も高いためアルコールによる手指衛生も効果的です。また、不用意に口や鼻や目の粘膜に触れないことを心がけましょう。

②自分に咳やくしゃみといった症状がある時、咳やくしゃみのしぶきを物理的に遮断する目的のためにマスクを着用することは、人にうつさないために効果的です。日頃から咳エチケット(咳やくしゃみが出る時は、マスクやティッシュ・ハンカチ、袖を使って口や鼻をおさえる)を守ることを心がけましょう。

③インフルエンザはワクチンで防ぐことができる、唯一のウイルス性呼吸器感染症です。インフルエンザワクチンは、インフルエンザウイルスが身体に入ってきた時に感染をしないように完全に阻止する働きはありません。最も期待できる効果は、感染した際の重症化を防ぐことです。ワクチンを接種してから効果を発揮するまで約2週間程度かかるため早めに接種を終えておくと効果的です。予防接種の効果は5ヶ月程度持続するといわれています。

最後に、インフルエンザと診断された時は、十分な休養を取り、自分の体を早く治すことが最も大切です。そして、家族や学校や職場の人へうつさないことも大切になります。冬の乾燥した空気は、インフルエンザウイルスが活動しやすく、注意していてもかかってしまう・うつしてしまうことはあります。ただ、一人ひとりが心がけることで、その可能性をさげることはできます。日頃からの手洗いや咳エチケット、十分な栄養と睡眠、流行前のワクチン接種といった「複数の対策の組み合わせ」を行うことで、インフルエンザの予防につとめましょう。

(令和2年2月 長門時事掲載)

 

その7 指先の痛み ~へバーデン結節と装具療法について~

作業療法士 井上 清隆

手指第1関節の痛み

 近頃,手指の第1関節が「腫れて,ズキズキ痛む」「コブができた」「変形してきた」という症状に悩まされている方はいらっしゃいませんか?それはもしかしたら「ヘバーデン結節」かもしれません.ヘバーデン結節とは手指第1関節の変形性関節炎で関節の腫れや変形が起こります.(図1)ヘバーデンとは最初に報告した先生の名前です.先日,テレビ番組でキャシー中島さんがこの病気で数十年も悩まされたと告白されました. 

 

症状

 人差し指から小指にかけて第1関節が赤く腫れたり,横方向に曲がったりし,痛みを伴います.また第1関節の動きも悪くなり,痛みのため,強く握ることが困難となります.さらには第1関節の背中側に水ぶくれのようなコブができることもあります.(粘液のう腫と言います)個人差はありますが,数ヶ月から数年のうちに痛みが落ち着くことが多いです.

 

原因

 正確な原因は不明とされていますが,一般に40歳代以降の女性に多く発症し,手をよく使う人はなりやすい傾向にあります.遺伝性は証明されていませんが,母や祖母がヘバーデン結節になっている人は高率に認められており,指先に負担をかけないように注意する必要があります.

 

診断

 ヘバーデン結節の診断は,視診,触診などで第1関節の腫れや熱感,変形,関節の動きなどを診察し,レントゲン写真で関節の隙間が狭くなったり,関節の破壊が見られたり,骨が棘のように突出するなどの所見(図2)があればヘバーデン結節と診断できます.

 

治療

 治療はまずは第1関節を安静にし,負担をかけないようにすることが重要です.しかし,この病気は仕事や家事を行っている活動的な人がかかることが多く安静にしたくてもできない方が多くいらっしゃいます.そういった方には関節を安静,保護させるために市販のテーピングや装具を使用することが有効です.(装具に関しては専門機関の受診が必要です)それでも痛みが改善しないときや変形がひどくなり日常生活に支障を来す場合は,手術を考慮します.手術法にはコブや骨の棘を切除するもの(関節形成術)や関節を固定してしまう方法(関節固定術)が行われます.

 

最後に

 キャシー中島さんはテレビで我慢できない痛みではなかったことから受診が後回しになったと話されていました。実際にヘバーデン結節の患者さんからそういった声を聞きます.もし,手指の第1関節の痛みに悩まされている方がいらっしゃいましたら,整形外科に相談してもらうことをおすすめします. 

(令和元年10月 長門時事掲載)

    
 
 

 

その6 閉塞性動脈硬化症について

外科医師 坂本 龍之介

●はじめに

閉塞性動脈硬化症とは動脈硬化が原因となって血管がつまる病気です。動脈は心臓だけでなくお腹や足・腕・脳と全身にありますが、そういった動脈が硬くなって、動脈の内側にごみがついてしまい、その結果、血液の通りが悪くなって症状が出ます。それが心臓であれば狭心症、脳であれば脳梗塞や脳卒中、足や腕であれば閉塞性動脈硬化症になります。

●原因

人は年齢とともに必ず動脈硬化は起こり、40歳くらいから徐々に増加します。そして一番の原因は喫煙であり、その他の原因としては糖尿病や高血圧、脂質異常といったいわゆる生活習慣病があります。近年では食生活の変化に付随して、飲酒や喫煙、ストレスや運動不足といったことが重なることで生活習慣病が進行していき、以前よりも動脈硬化の起こる割合は増加傾向です。

●症状

初期には冷感やしびれといった症状があり、生活に支障が出ることはほとんどありません。進行していくと間欠性跛行といって、一定時間運動すると痛みがでてきて、休むと改善するということを繰り返すようになります。そこからさらに進行すると、何もしなくても痛みが生じるようになり、最も進行すると傷が治らなくなり、足や手を切断しなければなりません。

●診断方法

病院で診断するときはまず、脈拍を触知します。血流が悪くなると脈拍が触れなくなるので、そのような人にはABIという、腕と足の血圧を比べる検査を行います。血流が悪くなると血圧が低くなりますので、閉塞性動脈硬化症のある人は数値が低くなります。この数値と症状から病気があるかどうかを判断して、病気がある場合はエコーやCTMRIといった検査を行い、具体的に血流の悪い部分を診断します。

●治療

生活習慣の改善・薬物療法・手術があります。最初は食生活の改善や運動、禁煙など生活環境を改善することで動脈硬化の進行を最小限にすることが大切で、特に、運動することが大切となります。

次に薬物療法として抗血小板薬、血管拡張薬という、いわゆる血液サラサラの薬を使い、新たな病変ができないようにします。ここまでしても症状が改善しない場合は手術を行います。

手術の方法はカテーテル治療とバイパス治療があります。カテーテル治療の特徴ですが、低侵襲であるため患者への負担が少ないです。麻酔は局所麻酔で行うので、食事は当日から可能であり、歩行も翌日には可能です。そして合併症がなければ23日間程度の入院で退院できます。バイパス治療はカテーテル治療では困難な高度な病変に対して行います。

比較的大手術であるため、入院期間はやや長くなり、全身麻酔で行います。

●最後に

 閉塞性動脈硬化症は進行すると足が壊死してしまい、場合によっては切断の可能性のある恐ろしい病気です。生活習慣を改善することで予防を行い、症状が出現したら早めに受診するようにして下さい。

(令和元年9月 長門時事掲載)

 

その5 手足口病とは?

感染管理認定看護師 松田純一

手足口病とは
 手足口病は、その名が示すとおり、口の中や、手足などに水泡性の発疹が出る、ウイルスの感染によって起こる感染症です。4歳くらいまでの子どもを中心に、主に夏に流行します。病気の原因となるウイルスは、主にコクサッキーウイルスA6、A16、エンテロウイルス71(EV71)で、その他、コクサッキーウイルスA10などが原因になることもあります。
 

症状
感染してから3〜5日の潜伏期をおいて、口の中、手のひら、足底や足背などに2〜3mmの水疱性発疹が出現します。発熱は約3分の1にみられますが、あまり高くならないことがほとんどです。ほとんどの発病者は、数日間のうちに治る病気です。基本的には予後良好の疾患ですが、まれに髄膜炎、小脳失調症、脳炎などの中枢神経系の合併症などを生じることがあり、発熱(高熱又は2日以上の発熱など)、嘔吐、頭痛などがある場合は注意が必要です。
 

感染経路
感染経路は、飛沫感染、接触感染が知られています。特に、この病気にかかりやすい年齢層の乳幼児が集団生活をしている保育施設や幼稚園などでは注意が必要です。施設の中で手足口病の患者が発生した場合には、集団感染が起こりやすいためです。
 

 予防
 手足口病には有効なワクチンはなく、また手足口病の発病を予防できる薬もありません。治った後でも、比較的長い期間、便などからウイルスが排泄されることがあります。一般的な感染対策は、接触感染を予防するために石けんと流水による手洗いをしっかりすることと、タオルの共用はしてはいけません。手足口病は、治った後も比較的長い期間、便の中にウイルスが排出されますので、日頃からのしっかりとした手洗いが大切です。
 

治療
手足口病に特効薬や特別な治療方法はありません。また、基本的には軽い症状の病気ですから、症状に応じた治療になります。しかし、まれに髄膜炎や、脳炎などの中枢神経系の合併症などを生じることがありますから、経過観察をしっかりと行い、高熱がでる、発熱が2日以上続く、嘔吐する、頭を痛がる、視線が合わない、呼びかけに答えない、呼吸が速くて息苦しそう、水分が取れずにおしっこがでない、ぐったりとしているなどの症状がみられた場合は、医療機関を受診しましょう。
 

発生状況について
 毎年、夏を中心として発生し、7月下旬に流行のピークを迎えます。国立感染症研究所によりますと、2019年6月末の患者数が31都府県で警報レベルとなりました。
 

学校保健法での取り扱い
 手足口病は、学校で予防すべき伝染病1~3種に含まれていません。主症状から回復した後もウイルスは長期間にわたって排泄されることがあるので、通常の流行状況での登校登園の問題については、流行阻止の目的というよりも患者本人の症状や状態によって判断されると良いでしょう。

参考:国立感染症研究所・厚生労働省・山口県感染症情報センター
(令和元年8月 長門時事掲載)

その4 視能訓練士を知っていますか?

視能訓練士 津曲 彩佳

 

皆さんは視能訓練士を知っていますか?

視能訓練士とは、昭和四十六年に制定された視能訓練士法により、「医師の指示の下に、両眼視機能に障害のある者に対するその両眼視機能の回復のための矯正訓練及びこれに必要な検査を行うことを業とする者」をいいます。

過去に日本眼科医会は、昭和五十四年より眼科コメディカル(OMA)の養成教育を行い、認定試験により業務の補佐を担うOMAを雇用してきました。このOMAが視力検査等をおこなってきたのですが、視能訓練士養成校の増加、医療水準が高く求められるようになってきた時代背景から平成二十三年度からOMAの制度が廃止されました。そして、眼科に係る業務は視能訓練士またはその他の有資格者によって行うようになりました。

最近では、糖尿病などの慢性疾患や老化に伴う疾患・障害の増加により、中高年の低視力者が増加傾向を示しています。視力の低下した高齢者を対象に、目の検査やリハビリテーションの指導も行います。斜視、弱視の視能訓練という専門分野のみを業務としていた創生期に対して、今では眼科一般分野での幅広い視能検査への業務分野は拡大しています。

 

視能訓練士の業務内容

視能訓練士は、医師の指示の下に眼科に係る検査を行います。業務は病院施設ごとに異なりますが、その具体的内容は次の通りです。

   眼科一般検査分野(眼科診療に係わる視機能検査全般) 

遠視、近視、乱視といったような屈折異常に関する検査、白内障、緑内障などの眼疾患に関する検査、眼鏡やコンタクトレンズの処方に関する検査等を行います。[視力・屈折・眼圧・視野・眼底・前眼部の写真撮影および解析・角膜内皮細胞・電気生理・超音波検査など]

 

②視能矯正分野(斜視、弱視などの訓練指導) 

視能訓練士は、両眼視機能の異常を持つ斜視、弱視の患者さんに両眼視機能を回復させるための視能訓練及びこれに必要な検査を行います。

[両眼視能・眼筋機能・精密屈折検査、斜視・弱視訓練など]

 

③視力低下者のリハビリ指導 

高齢化社会、生活習慣病の蔓延などに伴い、視機能が十分に回復しない方が増えています。そのような方に、早期にロービジョンケアを開始し、必要な補助具を選定、その使い方を指導します。

[拡大鏡、拡大読書器、単(双)眼鏡、遮光眼鏡など]

 

視能訓練士の検査業務は一見単調ですが、いろんな人と接することができ、何度も顔を合わせるうちに親しくなることもあります。新しい機械がどんどん出てくるので常に勉強が必要で大変ですが、正確な検査結果を出すことができたときは、自信もつき次の検査につなげることができます。

これからも視能訓練士として新しい知識や技術に柔軟に対応し、身につけたいと考えています。少しでも多くの患者さんの役に立てるよう日々精進してまいります。

(令和元年7月 長門時事掲載)

 

その3 近年増加した大腸がん 

外科医師 重田 匡利

はじめに

大腸は盲腸から肛門まで約1.6メートルで、おなかのなかを一周しています。たくさんの腸内細菌が繁殖しており食物や細菌による刺激にさらされて、さまざまな病気が起こることがありますが、なかでも大腸癌に注意が必要です。大腸癌でも肛門から近い直腸にできるものを直腸癌、それ以外を結腸癌と呼びます。大腸癌はもともと日本人には少なかったのですが2000年ごろまで患者数がどんどん増加し、以後も横這いで経過しております。2014年の男女あわせた発症者は約134千人であり胃癌を抜いて最も多い癌となりました。

 

発生と進行

大腸の粘膜に大腸癌は発生します。やがて大腸の壁深くへ侵入します。壁の外まで広がり腹腔内に散らばったり、近くの臓器を巻き込んだりします。あるいは血液やリンパの流れに乗ってリンパ節や肝臓、肺などの臓器に転移します。

 

症状

大腸癌が大きくなると出血や狭くなることで症状が出現します。便が細くなる、便に血が混じる、貧血になる、便秘や下痢を繰り返す、さらに腹痛や腹満、嘔吐が出現します。一方で早期の大腸癌は症状がほとんどありません。

 

危険因子

脂質摂取の増加、食物繊維の減少など食生活の変化が大腸癌の増加の原因と考えられています。飲酒、喫煙、肥満、糖尿病、炎症などが大腸癌と関係するようです。また親など近い家族に大腸癌の患者さまがいらっしゃるのであればそれも注意が必要です。発症年齢は50歳頃から増加し70歳頃がもっとも多いようです。

 

診断

検診では便潜血検査が行われます。診断には大腸の内視鏡検査が行われます。

 

治療

大腸癌は可能であればまずは手術で癌を取り除くことを考えます。通常の開腹手術のほかに腹腔鏡を用いた小さな傷の大腸切除が行われています。肛門に近いものでは人工肛門が必要になります。切除範囲を含めた手術内容はおおむね癌の部位と進行度で決定してしまいますが、体力や希望なども考慮して最適な治療法を選択します。大腸の完全閉塞や穿孔では緊急手術が必要になり、重態となるので注意が必要です。その一方で、ごく早期のものは大腸内視鏡で切除が可能なものもあります。大腸手術後の症状としては便通異常があります。とくに直腸術後では頻回の便通や便失禁、痛みや排便困難など強い症状が出ることがあります。予防目的あるいは転移に対しては抗癌剤治療が行われます。抗癌剤治療も近年の進歩により長期間効くようになってきました。今後もさらに良く効く治療の開発が望まれます。

 

おわりに

早期の大腸癌は治癒する確立も高いですが検診でないと見つかりません。検診をうけた人のうち大腸癌がみつかるのは0.2%とのことでありますが、ポリープなど前癌病変の切除までを含めるとそれ以上の意義があります。一説によると大腸癌検診を受けている人は大腸癌死が70%も減らせるそうです。職場検診や市の検診などの機会がありましたら受けてみてください。

(令和元年6月 長門時事掲載)

その2 ラジエーションハウス?

放射線部 診療放射線技師 新町浩太郎
(花も嵐も踏み越えて…)昭和13年に上映された映画「愛染かつら」。その当時から病院を舞台とした映画、ドラマに出てくるのは医師と看護師。これが発端かどうかは分かりませんが、日本において医療にかかわる職種では医師と看護師の知名度が高いのは言うまでもありません。

何ということでしょう。平成も最後のころとなり月9ドラマに「ラジエーションハウス」というドラマが始まりました。内容は放射線科医と診療放射線師が検査と画像診断を通じ患者さんと織りなす人間模様を描いた作品です。
 

ところで「ラジエーションハウス」って何?と思われる人も多いのではないでしょうか?原作コミックから引用させて頂くと、『私たちの知るあの診療所とは別の場所に、直接見る事の出来ない身体の中を写し、その画像から病気の診断をするスペシャリストたちがいることを、普段私たちが目にする事のないその空間を、例えばこう呼ぶとしよう!ラジエーションハウスと。』カッコいいですね。簡単に言えば放射線科医と診療放射線技師がいる“放射線科”。実際の英訳は「the department of radiology」となります。
 

   診療放射線技師の役割は、放射線(主にはX線)を用い通常見る事の出来ない身体の中を画像にすることです。一般撮影(胸部、腹部、骨など)、CT、胃透視、放射性同位元素を用いた核医学検査等、またX線を用いないMRI、超音波検査を含め画像診断全般をサポートしています。加えて、放射線での癌治療。「放射線を用いた検査と治療のスペシャリストなのです。それが診療放射線技師なのである。」(特撮ヒーローもののナレーション風に言ってみました)

   
  放射線科医は診療放射線技師が撮像したものから、病気を読み取り(読影と言います)レポートを作成、主治医に検査の結果を伝えています。全診療科に精通していなければ成り立たず、多くの知識経験値が必要となります。現在の医療では画像診断と診療は切っても切り離せないものとなり、実際は、主治医が依頼した検査の画像は放射線科医が診断しているのです。
 

  今まで、診療放射線技師がテレビ、新聞などマスコミに取り上げられる場合、大抵不祥事。「ラジエーションハウス」の放映が始まりここぞとばかりにアピールさせて頂きました。医療職において診療放射線技師の知名度が上がれば何よりです。
(令和元年5月 長門時事掲載)
 

その1 介護保険制度について

居宅介護支援事業所 管理者 宮本 由美子
介護保険法は1997(平成9)年12月に国会で成立し、2000(平成10)年4から施行されました。介護保険が導入されて随分経過しましたが、まだまだ知られていないのが現状です。そこで今回、制度創設した背景と目的、そして介護支援専門員(ケアマネジャー)について触れてみることにしました。
 
 ◆背景
先ず、制度創設の背景には、高齢化の進行に伴い要介護高齢者が急増し、介護問題に対する国民の不安が高まったにもかかわらず、従来の老人福祉制度及び老人保険制度だけでは、高齢者の介護問題に十分に対応できないことが明らかになりました。例えば、サービス利用の権利保障が不十分なこと、サービスが選択できないこと、所得調査等による利用への心理的抵抗、介護を理由とする一般病棟への長期入院(いわゆる社会的入院)の発生、要介護高齢者にとっての病院の生活環境の不十分さ、両制度間の利用手続きやサービス内容、利用者負担等のアンバランスといった問題が挙げられました。
介護保険制度は、こうした問題に対応し、①高齢者介護を社会全体で支えること、②利用者本位の立場から適切なサービスを総合的・一体的に提供すること、③社会保険方式を導入し、保険料負担の見返りとしてサービスが受けられることを明確にすること、④介護を理由とする社会的入院の解消を図るとともに、医療をはじめとする社会保障の構造改革を推進していくことなどを目指して創設されました。
 
 ◆目的
 介護保険制度の目的は、介護保険法第1条に次のように記されています。
(目的)
第1条 この法律は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、その行う保険給付等に関して必要な事項を定め、もって国民の保健医療の向上及び福祉の推進を図ることを目的とする。
 
介護支援専門員(ケアマネジャー)は、介護保険制度の創設に伴い誕生した専門職です。要介護者等(要介護者・要支援者)が自立した日常生活を営むのに必要な援助に関する知識・技術を有しており、要介護者が適切な介護サービスを利用できるよう、サービス提供事業者等との連絡調整を行うことをその主たる職務としています。つまり、利用者の立場に立って、利用者の状況に最もふさわしい適切なサービスを確保し続け、利用者の生活の質の向上を保持できるように支援するためのキーパーソンなのです。
 居宅の介護支援専門員(ケアマネジャー)は、当初、居宅介護支援事業所のみに勤務していましたが、2005(平成17)年改正で創設された地域包括支援センターにも勤務することになりました。介護のことで悩んでいる方、介護保険のことでわからないことがある方は、居宅介護支援事業所、地域包括支援センターに相談して下さい。電話や直接足を運ばれても構いません。決して全てを解決できるわけではありませんが、少しでも本人、ご家族が望まれる生活ができるよう、一人ひとりに寄り添い、介護支援専門員(ケアマネジャー)が支援していきます。
(平成31年4月 長門時事掲載)
山口県厚生農業協同組合連合会
長門総合病院
〒759-4194
山口県長門市東深川85
TEL.0837-22-2220
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