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スタッフのよもやま話
その14 医療機関の機能分担について
医事課課長 金子純
「かかりつけ医を持ちましょう。」最近目にすることが多くなった言葉ではないでしょうか。長門市の市報にも書いてあるのを目にしました。以下、引用させていただくと、
『日ごろから健康診査を受けるなど身体の状態を知ってもらい、気軽に相談できる「かかりつけ医」を持ちましょう。
かかりつけ医のメリット
・家族歴もわかり適切な診断が受けられ、緊急時に適切な対応がしてもらえる
・適切な専門医を紹介してもらえる
・薬や検査の重複を防ぎ、安全な診療・医療費の無駄が省ける
(広報 ながと 令和2年8月号)』
とあります。ここでいう「かかりつけ医」とは診療所やクリニック等の開業医の事です。
これは開業医と大学病院などの大病院の医療機能に応じた役割分担を推進する国の方針に沿っています。
高齢人口の増加に伴い医療費も増加しています。国は医療の効率化を図るため開業医と大病院のそれぞれの役割をはっきりさせようとしているのです。これは初診の患者様にも当てはまることですが、具体的には患者様が外来にかかるとき、まず最初はかかりつけ医(または開業医)に診てもらい、一般的治療で難しい症状があった時や入院が必要なときはかかりつけ医から大病院や専門医を紹介してもらう。治療が終わり症状が安定したらまたかかりつけ医に戻るという仕組みです。
これまでも、国が指定する大病院を紹介状の無い患者様が受診すると、大病院は診療費以外に「選定療養費」として初診時は5,000円以上、再診時は2,500円以上の実費を患者様から徴収する義務がありました。
令和2年4月の診療報酬改定において、この大病院とされる範囲が拡大されました。国は着々と医療機能に応じた役割分担を進めているのです。
さて、地方の医師不足が問題になっていることは皆様もご存じの事と思います。長門総合病院を例にすれば特に内科医師の減少が続いており、ここ数年で多くの内科のかかりつけ患者様を近隣の病院や開業医へ紹介させていただいています。このような事情から内科は現在、緊急性の少ない初診の患者様をお受けすることが難しく、まずは開業医への受診をお願いしている状況です。長門市内の病院でも常勤医がいない診療科もあります。かかりつけ医や他の医療機関からの紹介状をお持ちの患者様が、せっかく来院されたのに担当医の診察日ではなかったり、担当医が急遽休診になっていたりして受診できないということも考えられます。病院の多くは地域連携室という紹介患者様専用窓口を設置しています。スムーズに診察を受けていただくためにも、紹介元の医療機関、または患者様ご自身から事前に紹介先の病院にご連絡していただき、いつ受診したらいいのか、予約は可能なのか等を確認される事をおすすめします。
(令和2年8月 長門時事掲載)
その15 「HbA1c」を知って糖尿病予防を
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年齢…1歳年を取るごとに男性・女性ともに2%上昇
肥満指数…BMI(健診結果に記載あり)が増えるごとに、男性・女性とも17%上昇 糖尿病の家族歴…家族歴があると、男性で2.0倍、女性で2.7倍上昇 高血圧…高血圧があると、男性で1.3倍、女性で1.8倍上昇 喫煙…1日20本以上吸う方は吸わない方と比べて、男性で1.4倍、女性で3.0倍上昇 飲酒…1日1合以上飲む方は、飲まない方と比べて男性で1.3倍上昇 |
その16 新型コロナウイルス感染症
感染管理認定看護師 松田純一
病態、症状
感染経路は飛沫感染(咳やくしゃみで飛び散ったしぶき(飛沫)を吸い込むことにより感染する)が主体と考えられ、換気の悪い環境では、咳やくしゃみがなくても感染すると考えられます。また、ウイルスを含む飛沫などによって汚染された表面からの接触感染も考えられます。エアロゾル感染は厳密な定義がない状況にありますが、密閉された空間において短距離でのエアロゾル感染が考えられる報告もあります。
潜伏期は、1~14日間でウイルスが体内に侵入してから5日程度で発症することが多いです(WHO)。発症前から感染性があり、発症から間もない時期の感染性が高いことが市中感染の原因になっています。初期の症状はインフルエンザや風邪に似ているため、これらと新型コロナウイルス感染症を区別することは困難です。感染者の症状としては、発熱、咳、倦怠感、呼吸苦が多くみられ、下痢や味覚障害・嗅覚障害などを伴う例も認められます。
予防法
1)日常生活で気を付けること
まずは、一般的な感染症対策や健康管理を心がけてください。具体的には、石けんと流水による手洗いや手指消毒用アルコールによる消毒が大切です。外出先からの帰宅時や調理の前後、食事の前などに手をきれいにしましょう。また、マスクの着用は感染のリスクを大きく下げることが認められていますので、マスクを正しく着用して鼻と口の両方を確実に覆いましょう。
咳などの症状がある方は、咳やくしゃみを手で押さえると、その手で触ったものにウイルスが付着し、ドアノブなどを介して他の方に病気をうつす可能性がありますので、咳エチケットを行ってください。持病がある方、ご高齢の方は、できるだけ人込みの多い場所を避けるなど、より一層注意してください。発熱等風邪の症状があるときは、学校や会社を休んでください。
2)環境消毒
新型コロナウイルスは、70%以上のアルコールや0.05%の次亜塩素酸ナトリウムが有効と考えられます。よく手が触れるドアノブやテーブル、スイッチなどをこまめに消毒しましょう。
3)換気の悪い密閉空間を避ける
これまで集団感染が確認された場に共通するのは、①換気の悪い密閉空間であった、②多くの人が密集していた、③近距離(互いに手を伸ばしたら届く距離)での会話や発声が行われたという3つの条件が同時に重なった場です。みなさまは、これらの3つの条件ができるだけ同時に揃う場所や場面を予測し、避ける行動をとってください。
相談・受診の目安
発熱や咳など症状があり新型コロナウイルス感染症の可能性がある人は、山口県新型コロナウイルス感染症専用相談ダイヤル24時間対応(083-902-2510)か、市内のかかりつけ医に電話でご相談ください。
偏見や差別は絶対に行わない
新型コロナウイルス感染症は誰でもかかる可能性があります。感染者や濃厚接触者とその家族、新型コロナウイルス感染症の対策・治療にあたる医療従事者や社会機能の維持にあたる方とその家族等に対する誹謗中傷等、偏見や差別、いじめにつながるような行為は絶対に行わないことです。長門市は「長門市新型コロナウイルス感染症の患者等の人権の擁護に関する条例」を制定し偏見や差別、誹謗中傷など人権の侵害をしてはならないとしています。新型コロナウイルス感染症は、現時点でも未解明な点が多いことから、不安や恐れを感じ確かでない情報を安易に信用してしまいがちです。国などの公的機関が提供する正しい情報を確認し、冷静に判断して行動することが大切です。
(令和2年11月 長門時事掲載)
参考
・厚生労働省
・日本環境感染学会
・山口県「新型コロナウイルス感染症に係る偏見や差別、いじめの防止に向けて」