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スタッフのよもやま話  

その13 健康診断で血尿と言われたら/夏場に多い尿路結石

泌尿器科医師 堀口直也

血尿と聞いて想像するのは、トイレの後で便器が真っ赤になった状態でしょうか。そういった血尿もありますが、色は付いていないのに健康診断で血尿が認められる場合もあります。前者は見てわかるので肉眼的血尿、後者は顕微鏡的血尿と呼ばれます。ただ、肉眼的血尿は視覚的な分かりやすさがあるため、病院を受診される患者さんがいますが、顕微鏡的血尿の場合は、検査の数値だけで実感が伴いにくいため、忙しさを理由に後回しにされてしますこともあるようですが、病気の初期段階で発見できる可能性もあるため、医療機関の受診をお勧めします。

 血尿の原因は多岐に渡り腎疾患、出血性膀胱炎、尿路結石、尿路悪性腫瘍()、外傷、抗凝固薬内服の影響などが挙げられます。

 それらの診断にはまずは問診、尿検査といった一般的な検査が行われ、更に症状に応じて検査を追加します。例えば、感染尿で排尿時痛を伴う場合には出血性膀胱炎を疑います。間欠的な腰背部痛がある場合には尿路結石を疑って、レントゲン撮影や超音波検査を追加します。尿検査で異常な形の細胞が含まれる場合には膀胱癌を疑って超音波検査や、尿細胞診検査、膀胱鏡、造影検査を検討します。血尿に加えて蛋白尿がある場合や、採血で腎機能が落ちている場合には腎炎マーカーの採血や、腎生検(腎臓を針で刺す検査、入院が必要ですが、麻酔をするので痛みはほとんどありません。)を加えて精査を進めます。外傷歴や、抗凝固薬の内服歴といった分かりやすい理由がある場合も、他の原因が合併している場合があるので注意が必要です。これらの検査で診断がつけば、原疾患に対処することが出来るので、血尿も改善する場合が多いでしょう。

 また、この記事が載るのは夏真っ盛りでしょうか、尿路結石の増える時期になります。尿路結石は腎結石・尿管結石・膀胱結石・尿道結石を指します。腎結石は無症状で経過することの多い病気で、サイズが大きくなりすぎずに、腎臓にとどまっている場合には大きな問題となることが少ない病気です。ところが、この石が尿管に移動して引っ掛かり、尿の流れを遮ることで尿管や腎臓が尿で膨らんで、大変な腰背部痛を生みます。すさまじい痛みのために救急車を呼ばれる方もいる程です(医療機関を受診して尿管結石と分かっていて、自宅待機を選択している場合はご家族の車や、タクシーを利用した受診で問題ない場合がほとんどです)。結石のサイズや、石の位置、種類、感染症を伴っているかで治療法は変わりますが、自然排石待機・体外衝撃波による砕石・内視鏡による砕石のいずれかを選択することになります。

膀胱結石・尿道結石では排尿痛や膀胱刺激症状を伴うこともあり、ほとんどは自然排石されますが、排尿障害のある方に起こった場合には、内視鏡による砕石・除去が必要な場合もあります。

 尿路結石が夏に起こりやすい原因の一つとして、尿量の減少が知られ(尿量1L/日以下で結石の発生率が上がると言われています)、結石を予防するのに必要な尿量は2L/日以上とも言われますので、可能な範囲での飲水を心掛けたいものです。

(令和27月 長門時事掲載)

その14 医療機関の機能分担について

医事課課長 金子純

「かかりつけ医を持ちましょう。」最近目にすることが多くなった言葉ではないでしょうか。長門市の市報にも書いてあるのを目にしました。以下、引用させていただくと、

 

『日ごろから健康診査を受けるなど身体の状態を知ってもらい、気軽に相談できる「かかりつけ医」を持ちましょう。

かかりつけ医のメリット

・家族歴もわかり適切な診断が受けられ、緊急時に適切な対応がしてもらえる

・適切な専門医を紹介してもらえる

・薬や検査の重複を防ぎ、安全な診療・医療費の無駄が省ける

(広報 ながと 令和28月号)』

 

とあります。ここでいう「かかりつけ医」とは診療所やクリニック等の開業医の事です。

これは開業医と大学病院などの大病院の医療機能に応じた役割分担を推進する国の方針に沿っています。

高齢人口の増加に伴い医療費も増加しています。国は医療の効率化を図るため開業医と大病院のそれぞれの役割をはっきりさせようとしているのです。これは初診の患者様にも当てはまることですが、具体的には患者様が外来にかかるとき、まず最初はかかりつけ医(または開業医)に診てもらい、一般的治療で難しい症状があった時や入院が必要なときはかかりつけ医から大病院や専門医を紹介してもらう。治療が終わり症状が安定したらまたかかりつけ医に戻るという仕組みです。

これまでも、国が指定する大病院を紹介状の無い患者様が受診すると、大病院は診療費以外に「選定療養費」として初診時は5,000円以上、再診時は2,500円以上の実費を患者様から徴収する義務がありました。

令和24月の診療報酬改定において、この大病院とされる範囲が拡大されました。国は着々と医療機能に応じた役割分担を進めているのです。

さて、地方の医師不足が問題になっていることは皆様もご存じの事と思います。長門総合病院を例にすれば特に内科医師の減少が続いており、ここ数年で多くの内科のかかりつけ患者様を近隣の病院や開業医へ紹介させていただいています。このような事情から内科は現在、緊急性の少ない初診の患者様をお受けすることが難しく、まずは開業医への受診をお願いしている状況です。長門市内の病院でも常勤医がいない診療科もあります。かかりつけ医や他の医療機関からの紹介状をお持ちの患者様が、せっかく来院されたのに担当医の診察日ではなかったり、担当医が急遽休診になっていたりして受診できないということも考えられます。病院の多くは地域連携室という紹介患者様専用窓口を設置しています。スムーズに診察を受けていただくためにも、紹介元の医療機関、または患者様ご自身から事前に紹介先の病院にご連絡していただき、いつ受診したらいいのか、予約は可能なのか等を確認される事をおすすめします。

(令和28月 長門時事掲載)

その15 「HbA1c」を知って糖尿病予防を

保健師 岡本香子
食生活や運動不足等の生活習慣が主な原因となる2型糖尿病の場合、ある日突然、血糖値が高くなるのではありません。多くの場合、ゆっくり、何年もかかって血糖値が高くなり、糖尿病に至ります。まだ糖尿病と診断されるほど血糖値が高くないけれども、正常よりは高くなってきた状態を「糖尿病境界型」や、「糖尿病予備群」と呼びます。
 
HbA1c:(読み方)ヘモグロビンエーワンシー
検査前の飲食に左右されず過去1~2カ月の血糖の状態を示す値
テキスト ボックス:  血糖値の高さを確認する代表的な検査としては、空腹時血糖値、75g経口ブドウ糖負荷試験、HbA1cの3つがありますが、今回は市の健診等(特定健診)で測定されるHbA1cに注目して、糖尿病予防を考えます。
 
                     
 
 
 
 
 
注1) 境界型、注2)正常型でも、血糖値や他の病気(高血圧や脂質異常症、肥満症等)の有無により、精密検査を勧められる場合があります。
 
 
 
 
 
 
 
この図でHbA1cが6.0~6.4の方は、糖尿病境界型です。ご自分の値が境界型でないか健診結果を確認してみてください。
糖尿病境界型の数値の方は、「まだ糖尿病になったわけじゃないから、今は食生活を改善したり、運動をしたりする必要はない」と思っている方がいるかもしれません。糖尿病境界型の段階ではなんの症状もないので、そう考えるのは無理もありません。しかし、糖尿病境界型の段階で、からだの中では変化がおきはじめています。
 
例えば、血糖値を下げるホルモンであるインスリンが出にくくなったり、効きにくくなったりする変化は、糖尿病と診断されるずっと前の段階からあるといわれています。糖尿病境界型といわれる状態から糖尿病に進むにつれて、インスリンの働きは徐々に弱まっていきます。
 
テキスト ボックス:  また、血糖値が高い状態が続くことで全身の血管にダメージを与えます。そのため、血管の老化である動脈硬化は糖尿病境界型の段階から生じており、心臓や脳などの血管の病気になりやすくなります。
 
 
 
 
では境界型と知った時、または、まだ正常型にある時でも、どうしたら糖尿病予防できるのでしょうか。2型糖尿病の発症リスクを高める要因として、日本人の40~59歳の男女を10年間追跡した調査により、以下のことがわかりました。
年齢…1歳年を取るごとに男性・女性ともに2%上昇
肥満指数…BMI(健診結果に記載あり)が増えるごとに、男性・女性とも17%上昇
糖尿病の家族歴…家族歴があると、男性で2.0倍、女性で2.7倍上昇
高血圧…高血圧があると、男性で1.3倍、女性で1.8倍上昇
喫煙…1日20本以上吸う方は吸わない方と比べて、男性で1.4倍、女性で3.0倍上昇
飲酒…1日1合以上飲む方は、飲まない方と比べて男性で1.3倍上昇
 
これらに当てはまる場合、年齢と家族歴を除いては、ご自身で改善できそうな要因です。まず適正な体重管理、血圧管理(減塩、減量、適度な運動)、禁煙、節酒をできるところから実行し、糖尿病を予防したいですね。
 
※「糖尿病リスク予測ツール第2版」:国立国際医療研究センター作成のこのツール、身長体重、年齢、血圧、喫煙の有無、血液データ(分かれば)を入力すると、3年後に2型糖尿病になるリスクを予測してくれます。ネットでチェックしてみてください。
参考出典:国立国際医療研究センター 糖尿病情報センターHP
(令和2年9月 長門時事掲載)

その16 新型コロナウイルス感染症 

感染管理認定看護師 松田純一

病態、症状

感染経路は飛沫感染(咳やくしゃみで飛び散ったしぶき(飛沫)を吸い込むことにより感染する)が主体と考えられ、換気の悪い環境では、咳やくしゃみがなくても感染すると考えられます。また、ウイルスを含む飛沫などによって汚染された表面からの接触感染も考えられます。エアロゾル感染は厳密な定義がない状況にありますが、密閉された空間において短距離でのエアロゾル感染が考えられる報告もあります。

潜伏期は、114日間でウイルスが体内に侵入してから5日程度で発症することが多いです(WHO)。発症前から感染性があり、発症から間もない時期の感染性が高いことが市中感染の原因になっています。初期の症状はインフルエンザや風邪に似ているため、これらと新型コロナウイルス感染症を区別することは困難です。感染者の症状としては、発熱、咳、倦怠感、呼吸苦が多くみられ、痢や味覚障害・嗅覚障害などを伴う例も認められます。

 

予防法

1)日常生活で気を付けること

まずは、一般的な感染症対策や健康管理を心がけてください。具体的には、石けんと流水による手洗いや手指消毒用アルコールによる消毒が大切です。外出先からの帰宅時や調理の前後、食事の前などに手をきれいにしましょう。また、マスクの着用は感染のリスクを大きく下げることが認められていますので、マスクを正しく着用して鼻と口の両方を確実に覆いましょう。

咳などの症状がある方は、咳やくしゃみを手で押さえると、その手で触ったものにウイルスが付着し、ドアノブなどを介して他の方に病気をうつす可能性がありますので、咳エチケットを行ってください。持病がある方、ご高齢の方は、できるだけ人込みの多い場所を避けるなど、より一層注意してください。発熱等風邪の症状があるときは、学校や会社を休んでください。

2)環境消毒

新型コロナウイルスは、70%以上のアルコールや0.05%の次亜塩素酸ナトリウムが有効と考えられます。よく手が触れるドアノブやテーブル、スイッチなどをこまめに消毒しましょう

3)換気の悪い密閉空間を避ける

これまで集団感染が確認された場に共通するのは、換気の悪い密閉空間であった、多くの人が密集していた、近距離(互いに手を伸ばしたら届く距離)での会話や発声が行われたという3つの条件が同時に重なった場です。みなさまは、これらの3つの条件ができるだけ同時に揃う場所や場面を予測し、避ける行動をとってください。

 

相談・受診の目安

発熱や咳など症状があり新型コロナウイルス感染症の可能性がある人は、山口県新型コロナウイルス感染症専用相談ダイヤル24時間対応(083-902-2510)か、市内のかかりつけ医に電話でご相談ください。

 

偏見や差別は絶対に行わない

 新型コロナウイルス感染症は誰でもかかる可能性があります。感染者や濃厚接触者とその家族、新型コロナウイルス感染症の対策・治療にあたる医療従事者や社会機能の維持にあたる方とその家族等に対する誹謗中傷等、偏見や差別、いじめにつながるような行為は絶対に行わないことです。長門市は「長門市新型コロナウイルス感染症の患者等の人権の擁護に関する条例」を制定し偏見や差別、誹謗中傷など人権の侵害をしてはならないとしています。新型コロナウイルス感染症は、現時点でも未解明な点が多いことから、不安や恐れを感じ確かでない情報を安易に信用してしまいがちです。国などの公的機関が提供する正しい情報を確認し、冷静に判断して行動することが大切です。

(令和211月 長門時事掲載)

参考

・厚生労働省

・日本環境感染学会

・山口県「新型コロナウイルス感染症に係る偏見や差別、いじめの防止に向けて」

山口県厚生農業協同組合連合会
長門総合病院
〒759-4194
山口県長門市東深川85
TEL.0837-22-2220
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